「日本工芸版モノポリー」とは?

日本工芸版モノポリーは全国各地の伝統工芸品とその産地を舞台にする、特別エディションの「ご当地モノポリー」となります。

地域資源を活用した工芸品は日本各地に存在し、芸術的価値を見出されるような奢侈品だけでなく、人々の日々の生活を支える日用品として浸透してきました。しかし、素材に海外の安価な資源を使うものが日用品を席巻するようになると、日々の生活シーンから工芸品が徐々に少なくなってきているのが実情です。その一方で、日本各地の伝統的な工芸品の潜在的な良さを発掘し、それに付加価値を加える形で、日用品としての新たな役割を伝統的な工芸品に見出す動きが急速に広がっています。

今回は日本の伝統工芸品の新しい魅力を紹介すべく、「日本の工芸を元気にする!」をスローガンに日本各地で伝統工芸品と工芸産地を支援している奈良の中川政七商店とのコラボで、全国各地の伝統工芸品を多数、掲載しています。特に、乗り物マスには全国各地の動物をかたどった郷土玩具を採用しております。また、ボードの各マスにはデザイナーの書き下ろしの伝統工芸品の絵を採用し、イベントカードではこれまでの伝統工芸品のトリビアに加え、近年、伝統工芸品に起こっている新しい動きを記載するなど、細部までこだわった逸品です。

権利書紹介

※起源や定義には、諸説ある場合がございます。

ブラウン:東海の工芸
  萬古焼
三重県
江戸時代に始まった焼き物で、三重県四日市市の代表的な地場産業として伝統工芸品に指定されています。耐熱性の高さを活かした紫泥の急須や土鍋が有名で、土鍋の国内シェアは、7、8 割にのぼります。テーブルウエアの他、夏には欠かせない蚊遣り豚でも有名。生活に深く関わる工芸品です。
  伊勢形紙
三重県
和紙を加工した紙に、彫刻刀で着物の文様や図柄を丹念に彫りぬいた伝統的な型紙です。図柄の芸術性が高く、美術工芸品や家具などにも使用されます。透かしの技術を活かして、照明や扇子・団扇など身近な工芸品にも用いられてきました。浴衣の柄に使われることも多く「パターン」の繰り返しが特徴です。
ライトブルー:中国・四国の工芸
  土佐和紙
高知県
染色の技術に優れ、約300種にもわたる紙の種類があります。書道半紙や文化財の修復、内装材、ファッションなど、書物用の紙にとどまらず、さまざまな用途に用いられています。高知の恵まれた自然、とくに豊かな水を活かして発展し、全国各地の和紙の中でも明治時代中期には全国一の生産規模になりました。
  今治タオル
愛媛県
明治初期から始まった今治のタオル生産は、国内最大規模の生産量です。晒しや染めに適した質の良い水が豊富にあったことで染色技術が向上し、良質なタオルの産地となりました。吸水性の良さが特徴の、繊細な肌触りのタオルです。
  デニム
岡山県
日本のファッション関連の一大産地、岡山県。その歴史は古く、江戸時代の綿花栽培に始まり、明治時代には機械紡績・製造まで手掛けてきました。特に、仕上げ・加工まですべての技術が集積している児島のデニムは、日本だけでなく、世界的な評価も高い一品です。
ライトパープル:近畿の工芸
  豊岡行李
兵庫県
古事記に由来する柳細工のカゴが行李の始まりとされ、江戸時代には豊岡藩の独占取扱品として生産が盛んになりました。衣類の収納や行商用、お弁当箱など様々な用途があり、明治時代に内国勧業博覧会に出品された「行李鞄」は、和製のトランクとして大きな話題を集めました。
  注染
大阪府
特殊な糊で防染した生地に染料を注いで染める型染めの一種で、主には手ぬぐいや浴衣の染めに使われています。一度に20~30枚を染めることができ、手作業から機械による大量生産へ、ものづくりの過渡期であった明治時代に、大阪は堺の地で生まれました。裏表なく鮮やかに仕上がるのが特徴です。
  信楽焼
滋賀県
鎌倉時代中期に始まったと言われる信楽焼は、壷や火鉢などの大きなものから小物に至るまで、幅広いものづくりに対応できる素地の強さが特徴です。代名詞である「狸」の大きな焼き物は、そんな特徴を活かして作られ一躍人気者に。「ワビ・サビ」をたたえた焼き色から、茶道具や生活用品も多く作られています。
オレンジ:九州の工芸
  波佐見焼
長崎県
約400年前の産地の起こりから多くの日常食器を生み出し、庶民の食文化を支えてきました。青い染料による「染付」と透明感のある「青磁」が特徴です。江戸期には輸出港名から「伊万里焼」、明治以降は積出駅名から「有田焼」とも称されましたが、近年は「波佐見焼」ブランドとして人気を得ています。
  博多水引
福岡県
結納や贈答品の飾り物として使われてきた水引。各地の風習などによって様々な形がありますが、中でも博多水引は繊細にも大胆にもデザインされる形の多様さが特徴です。結納飾りでは、孔雀や鶴亀などが一本一本細やかに細工される一方、正月飾りなどでは、紅白の鮮やかな色合いで潔く結ばれます。
  琉球紅型
沖縄県
紅型は、古くから沖縄にあった染色技術と、海外貿易により入ってきたインドやジャワ更紗の技法とが合わさって生まれました。色付けに顔料を用い、図案は季節感のあるものより大陸文化を感じさせる「龍」や「鳳凰」などが多いのも紅型ならでは。鮮やかなウコン色と華やかな柄が特徴です。
レッド:東北の工芸
  こけし
東北、群馬県
こけしの産地は全国さまざま。東北地方を中心に伝統的な製法・デザインを踏襲する「伝統こけし」は、年中置ける調度品として。また工芸の手法は継承しながら姿形が自由にデザインされた「創作こけし」は、季節ごとの玩具や調度品として用いられてきました。群馬県は「創作こけし」の約8割のシェアを占めています。
  あけび蔓細工
青森県
青森県や秋田県を中心に生まれた工芸品。自生のあけびの蔓を採取し、節取りなどの工程を経た後、丹念に編み上げて籠などに仕立てます。革のように使い込むほどに色合いや形がなじんでいくのが魅力です。生活とともにある「育てる」工芸品です。
  南部鉄器
岩手県
17世紀中ごろ、京都から釜師を招いて茶の湯釜を作らせたのが盛岡南部鉄器の始まりと言われます。中でも南部鉄瓶は18世紀に開発され、庶民に用いられて広く普及しました。「質実剛健」「丈夫で長持ち」な佇まいのある、生活に根付く工芸品です。国の指定する「伝統工芸品」第一号でもあります。
イエロー:関東甲信越の工芸
  だるま
群馬県
群馬県は「張り子だるま」の出荷量全国1位。少林山達磨寺のある高崎市を中心とした地域で作られている「高崎だるま」は、眉毛が「鶴」、鼻からの口ひげが「亀」をかたどり、日本の吉祥を表現しています。養蚕農家の冬の手仕事として始まった、地域に根ざした工芸品です。
  越後三条打刃物
新潟県
江戸時代初期、河川の氾濫に苦しむ農民の救済のために鍛冶職人が招かれ、農家の副業として釘の製造が奨励されたことが産地の起こりと言われています。高度な自由鍛造技術により、包丁から工業製品にいたるまで、さまざまな形状のものを生み出しています。
  江戸切子
東京都
江戸末期に江戸の地で生まれた「江戸切子」は、当時ほとんどが無色透明か色被硝子を薄く被せたものでした。色の層が薄いため切子部分に透明ガラスが映え、江戸っ子好みの華やかな文様に。庶民の手で技術が伝承され、矢来・菊・麻の葉など着物にも用いられる身近な和の文様が代表的です。
グリーン:北陸の工芸
  越前漆器
福井県
越前漆器の起こりは約1500年前にさかのぼると言われています。江戸末期に京都から職人を招いたことから、現在のような金粉を用いて描かれる「蒔絵」が取り入れられました。「丸物」と呼ばれる椀だけでなく、「角物」と呼ばれる重箱・盆・花器など、用途に合わせた様々な製品が生み出されてきました。
  九谷焼
石川県
九谷五彩と呼ばれる赤・黄・緑・紫・紺青を基調とした、豪華で美しい色絵装飾が特徴です。1655年に始まり、その後突然生産が途絶えるまでの約50年間に作られたものを「古九谷」と呼びます。その約80年後に再興。明治6 年のウィーン万博への出展を機に、世界中から注目されるようになりました。
  金箔
石川県
全国の金箔生産量の99%が金沢です。工芸品の素材として扱われることが多いですが、箔自体を美しく加工したり、異素材と合わせるなど、高度な技術力が求められる繊細さが特徴です。伝統的な「縁付」と呼ばれる手法は、打ち紙の仕込みに半年もかかるなど、箔にかかわる一連の工程すべてが工芸の技と言えます。
ダークブルー:工芸のシンボル
  手織り麻
奈良県
麻皮を裂き、積んで糸にし、手織りした麻布。糸1本から作る大変な手間と、白く晒す高度な技術から奈良の麻織物は高級品とされてきました。江戸初期に徳川幕府の御用達品として認められ、武士の裃などに重宝されましたが、明治以降、需要が激減。現在その技術を継承するべき重要な工芸として生産が続けられています。
  西陣織
京都府
古来織物の工人(たくみ)たちが住んだ京都・西陣の地で作られる、先染の紋織物(染色した糸を使って模様を織り出す織物)を総称して西陣織と言います。縦糸と横糸に施す技法を変えることで、さまざまな美しい織模様を生み出すことができ、織り方の違いで12の種類があります。
乗り物(伝統玩具)
  鯨車
高知県
室戸岬の漁師たちが船上で漁を待つ間、折れた櫓や銛の木片を削り、父の帰りを待つ子供たちの土産として作ったのが始まりと言われています。かつて捕鯨が盛んだった高知の土地柄が表われる郷土玩具です。鯨を載せた台車をコロコロと転がして遊べます。
  雉車
九州
きじ馬とも呼ばれ、木で作った胴体に車輪を付けて転がせるようにしたおもちゃです。道に迷った唐からの伝教大使に一羽の雉が道案内をしたという伝説が由来とされています。開運、縁結び、家庭円満のお守りとしても親しまれ、福岡県を中心に広がった、九州独特の郷土玩具です。
  鳩車
長野県
粘土や木の皮などでつくる鳩の胴体に車をつけ、紐で引いて遊びます。中国で古くから流行したものが、日本では江戸時代から子供の遊び道具となりました。アケビ蔓細工が盛んだった長野県野沢温泉村の鳩車は、全国でも珍しいアケビ蔓でできていることで有名です。
  鹿車
奈良県
奈良では、江戸時代に人気を博した張り子鹿にはじまり、様々な鹿の玩具が作られました。中でも今も人気の、足先に車のついたビニール製玩具を元に、「材料全てが国内産である」「技術を継承している」「子供のおもちゃである」という条件をクリアし、新・郷土玩具として中川政七商店で作り始めたのが、この鹿車です。

「日本工芸版モノポリー」 とは